【コラム】マニキュアと爪|皮膚科部長が解説

ものごとの起源に関する著作で知られるアメリカのチャールズ・パナティの「ExtraordinaryOrigins of Everyday Things」によれば爪を染める習慣は紀元前3000 年のエジプトでは広く行われていました。古代社会では爪の色が社会的階級を表したこともあったと言われます。ちなみにクレオパトラは濃い赤さび色を好んだと記録に残っています。
我が国では江戸時代には爪を染めることに関して文献が残っており、一般に普及しだしたのは1960 年代からで1980年代からは急速に普及するようになりました。現在では単に爪を染めるだけではなく、スカルプチュア、ネイルチップを使った義爪やその上に装飾をするネイルアートも広く行われているのはご存じの通りです。
今回はそんなマニュキアによる爪の障害と予防について紹介したいと思います。
■ アレルギー性接触皮膚炎

ネイルラッカー、ベースコート、トップコート、ネイルハードナーいずれも成分、使用法が類似していますのでアレルギー性接触皮膚炎を生じた場合の臨床症状は同様です。爪甲下角質増殖、爪下出血、発赤、腫脹ときには写真のように爪甲の脱落をきたすこともあります。
この症例ではパッチテストでネイルカラーが陽性を示しました。
ネイルラッカーなどは爪甲のみに塗る( 周囲皮膚とは絹糸1 本分の隙間を)、周囲の皮膚には付着しないようにするのがいいでしょう。
■ 横溝形成

クチクラ( 爪上皮、甘皮) を機械的、またはクチクラリムーバーを用いて除去し、後爪郭( 爪の付け根) を押して後退させるために爪甲に横溝を生じます。
残念ながら、一度生じた溝は爪が生え替わるまでは修復されません。そのため、爪の長さを適正に保つ( 爪の先端の白い部分が1mm 程度の長さ)、後爪郭部( 爪の付け根) が乾燥しないように保湿をするのがいいと思います。
■ 爪甲層状分裂( 二枚爪)

除光液の主成分としてはアセトンが使用されています。アセトンの頻回の使用により爪甲の水分保持力が低下して爪甲はもろく、割れやすくなります。そのため下図爪甲先端のように二枚爪を生じます。
除光液の使用は週1回程度とする、使用後はネイルクリームを爪甲に塗布するようにして予防しましょう。
■ 爪甲着色

ネイルエナメルを使用しているうちに爪甲が黄色調になることがあります。特に赤色201 号、赤色202 号、赤色220 号、黄色4号などが原因になるといわれています。予防するには無色のベースコートを塗布した後に、ネイルエナメルを塗布するのが有効です。
■ さいごに
マニュキアによる爪の障害にも気をつけて楽しみましょう。
最近では男性向けのネイル用品やネイルサロンも増えてきています。
皮膚科 部長 荒川 正崇