【コラム】てんかんってどんな病気?どんな治療?~てんかんとうまく付き合うために必要なこと~|脳腫瘍外科部長が解説

てんかんは慢性の脳の病気で、性別や年齢を問わず発症し、日本で 100 人に1人と言われており、誰もがかかる可能性のあるありふれた病気の一つです。

しかし、てんかんの原因が明らかとなり、治療も確立されつつあるにも関わらず、未だてんかんに対する誤解や偏見が残っており、てんかんを持つ人が苦しんでいるのが現状です。

身近な病気だからこそ、てんかんを持つ人やその家族だけではなく、周囲の人も病気に対する正しい知識を持つことが大切です。

■ てんかんってな~に?

脳の神経細胞が異常に興奮することによって引き起こされる症状のことです。60 ~ 70%の 人は抗てんかん薬の内服で発作が抑制できるため大半の人が普通に社会生活を送っています。
また、薬で発作のコントロールができなければ外科手術によって発作の頻度・症状を軽減することができます。

■ てんかんの発作分類・症状

1.単純部分発作

意識ははっきりしているけど何らかの症状を伴っている発作です。顔面や片方の手足のけいれんや痺れ、その他 見え方の異常、気分不良や胃部不快感などがあります。

2.複雑部分発作

意識がなくなる発作で、大人のてんかんで最も頻度が高い発作です。ご高齢者のてんかんではこの発作が約半数を占めます。ボーっとなり、今までしていた動作を止めて、呼びかけても応答がなくなります。口をモグモグ・クチャクチャさせたり、手足をモゾモゾ動かしたり、片方の手を不自然な格好につっぱらせたりする動きがみられることもあります。

3.全般発作

おそらく皆さんがてんかん発作と聞いて思い浮かべるのがこの発作です。意識をなくし、手足をつっぱらせた後、ガクガクさせる全身のけいれん発作です。口から泡をふき、眼は白目をむきます。通常は数分でおさまります。

■ てんかんの診断

大半の人は数分で発作が消失するため、診察時に発作を認めることはほとんどありません。

そのため問診が重要です。問診の結果、てんかんが疑われた場合、脳波検査、CT・MRI 検査、血液検査などの精密検査を行い、てんかんの確定診断を行います。

■ てんかん発作が起きた時の対処法

てんかん発作が起きると、本人は体の自由がきかなくなることも多いため、周りの人の助けが不可欠になります。

ほとんどのけいれん発作では、発作後 10 ~ 20 分以内に意識が回復することが多いです。発作そのものが命に危険を及ぼすものではないため、発作を起こした場所が危険な場所であれば安全な場所に移動させたり、衣服をゆるめたりしたうえで、そのまま様子を見ていて構いません。ただし、けいれんが長く続く場合(5分以上)や、けいれん発作を繰り返す場合は救急車を呼んで病院に搬送してください。

発作は止めようとして止まるものではありません。舌をかまないようにと、口の中に物を詰め込むと窒息する危険性あるため行ってはいけません。できれば誤嚥しないように頭部を横に向けて見守ることを心がけましょう。

てんかんと診断されても、抗てんかん薬を飲み始めて発作が起こらない、睡眠中のみの発作、 運転に支障を及ぼすおそれのない発作など例外的な場合を除けば、自動車運転は認められます。ただし発作を起こすと最終発作から2年間は運転はできません。(道路交通法で定められています)

■ てんかんとうまくつきあっていくためには ■

てんかんは長く付き合っていく病気であり、発作がコントロールできていれば支障なく社会生活を送れます。そのため抗てんかん薬は忘れずに服薬しましょう。また、発作が起きたときに周りの人に助けてもらえるよう、発作時の対処方法を知らせておくことも大切です。

てんかん発作に遭遇すると突然のことで動揺する人も多いですが、落ち着いて行動しましょう。

脳腫瘍外科 部長 江藤 朋子