【コラム】子どもの健康を守るワクチン―小児科部長が解説する、知っておきたい予防接種

子供たちの健康未来を守るために、ワクチンは非常に重要な役割を果たします。近年、感染症予防のための新しいワクチン開発や、既存ワクチンの効果向上に関する研究が進んでいます。また、世界との距離も近くなり多くの人々の往来も盛んになっている現在、ワクチンの重要性はますます上がってきました。

■ ワクチン接種で防げる主な病気

    B型肝炎ロタウイルス感染症 (胃腸炎)肺炎球菌感染症
    ジフテリア破傷風(はしょうふう)百日せき
    ポリオヒブ感染症(ヘモフィリスインフルエンザ菌b型)結核
    インフルエンザ新型コロナウイルス感染症麻しん(はしか)
    風しんおたふくかぜ水痘(みずぼうそう)
    日本脳炎ヒトパピローマウイルス感染症(子宮頸がん)髄膜炎菌感染症
    A型肝炎RSウイルス感染症

    ■ 小児のワクチンの現状と重要性

    小児期は免疫システムが未発達なため、多くの感染症にかかりやすい時期です。生後2ヶ月からの定期接種スケジュールに沿ったワクチン接種は、麻疹、風疹、百日咳、ポリオなどの重篤な疾患から子どもたちを守るために不可欠です。これらのワクチンは、感染拡大を防ぎ、集団免疫を形成する役割も果たします。
    現状は、接種率の高い結核については2022年にようやく「低蔓延国」になったばかり、そして麻疹では2015年に「排除状態」になったにもかかわらず輸入麻疹により近年増加傾向にあります。HPVワクチンでは、先進国の80%と比較して、高校1年女子でも初回接種率41.9%、全体では22.1%でした。年間約1万人の子宮頸がん患者が発生し、罹患率は年々上昇しています。

    ■ 最近のトピック:新しいワクチン

    近年、mRNA技術を用いたワクチンや、より長期間効果が持続するワクチンの開発が進んでいます。特に新型コロナウイルスに対して短期間でのワクチン開発は、mRNAワクチンが活躍しました。局所反応など副作用では問題も残りますが、今後発展する分野と期待されています。
    RSV(呼吸器合胞体ウイルス)は、乳児や幼児にとって重篤な呼吸器感染症の原因となる疾患です。当院でも多くの入院患者がいました。心疾患、免疫不全、慢性肺疾患、早産児など赤ちゃんには、シナジス、ベイフォータスの抗体製剤での予防が可能です。2024年からアブリスボの妊婦への接種による母子免疫ワクチンの接種が可能になりました。これにより、基礎疾患のない赤ちゃんにもRSVの予防が可能となりました。そして、2026年4月より28週から37週の妊婦の定期接種となります。

      ■ 最後に

      ワクチンは、種類や制度が毎年のようにアップデートされていきます。ご不明な点、心配な点もあるかと思いますが、かかりつけ医の小児科、産婦人科、当院小児科でも気軽にご相談ください。