診療科の概要
脳神経外科
当科では脳神経外科疾患に対して全般的に診療を行っております。特に急性期脳疾患に対しては24時間体制で対応できるよう臨んでおります。常勤医は久留米大学より派遣された専門医が3名および若手医師2名が勤務しております。疾患によっては久留米大学脳神経外科および近隣の神経内科施設と連携をとりながら診療にあたっております。
2019年4月より脳血管内治療科、2024年4月からは脳腫瘍外科を新設し、より専門性の高い脳神経外科診療を提供できるよう取り組んでおります。
脳卒中センターでは脳卒中急性期に24時間対応できるよう取り組んでおります。
当科は社団法人日本脳神経外科学会の施設基準において久留米大学病院脳神経外科を基幹病院とした研修病院に指定されております。
脳卒中センター
当院は日本脳卒中学会認定研修教育病院で、同学会より一次脳卒中センター(PSC:Primary Stroke Center)認定を受けております。
2019年4月より脳血管内治療科を新設しました。
当院では脳血管障害に対する直達的な顕微鏡手術以外に脳動脈瘤(破裂・未破裂)に対するコイル塞栓術、頚部内頚動脈狭窄症に対するステント留置術(CAS)、急性期脳梗塞に対する機械的血栓回収術、髄膜腫など脳腫瘍に対する術前腫瘍栄養血管塞栓術など様々な病態に対する脳血管内手術も積極的に行っています。近年、再発を繰り返す慢性硬膜下血腫に対しては、血腫側の中硬膜動脈閉塞術も行っております。2024年度からはサイズの大きな未破裂脳動脈瘤に対して、フローダイバーター(FD)ステント手術も行っております。近年、脳出血に対しては低侵襲手術として内視鏡下血腫除去術も積極的に行っています。
脳卒中診療に関しては、当院職員および地域救急隊への研修、教育にも努めています。
脳血管障害の発症早期から急性期リハビリテーションの実施、回復期リハビリテーション病院等への転院調整を行っています。
当地域の回復期リハビリテーション病院と協力して「有明地区脳卒中連携パス」を運用しており、脳卒中患者さんの急性期治療から回復期リハビリテーションへ向けて時間的に無駄のないスムーズな治療体系を確立しています。
地域医療連携室を通して医師会に新設された「大牟田・高田地域医療介護ネットワーク」に協力し、開放型病床の利用拡大、逆紹介(安定した患者さんを地域の医療機関へご紹介する)、脳卒中にかかる地域完結型医療を積極的に推進します。
特色
脳神経外科
脳血管障害
- 脳出血:開頭血腫除去術、内視鏡下血腫除去術、定位的血腫吸引術など最近では脳出血、脳室内血腫に対しては、より低侵襲な内視鏡下血腫除去術も積極的に行っています。
- 脳梗塞、虚血性脳血管障害:抗血栓療法、血行再建術、脳血管内手術(頚動脈ステント留置術(CAS)など)急性期脳梗塞例ではt-PA投与、機械的血栓回収療法も行っています。外科的治療としては浅側頭動脈ー中大脳動脈(STA-MCA)吻合術、内頚動脈血栓内膜剥離術(CEA)も行っています。
- 破裂脳動脈瘤、未破裂脳動脈瘤:ネッククリッピング術(未破裂脳動脈瘤においては基本的に術中モニタリング下に手術を行っています)、脳血管内手術(コイル塞栓術)2024年からは大きな未破裂脳動脈瘤に対しては、フローダイバーター(FD)ステント手術も行っております。
- 脳動静脈奇形:直達手術、脳血管内手術
- 硬膜動静脈瘻:脳血管内手術、直達手術
- モヤモヤ病:直接・間接的血行再建術など軽症から重症まで幅広く対応します。
頭部外傷
病状によっては経過観察入院から可能であり、重症例では開頭血腫除去術、広範外減圧術および低体温療法などを頭蓋内圧モニタリング下に併用して行っています。
脳腫瘍
脳腫瘍一般:開頭腫瘍摘出術、定位的生検術、神経内視鏡下生検術・摘出術など症例に応じて術中ナビゲーションや術中モニタリングを用いた手術を行っています。悪性脳腫瘍に対しては腫瘍摘出術+放射線療法+化学療法など集学的治療も行っています。脳室内腫瘍に対しては神経内視鏡を用いた手術も行っています。下垂体腺腫などトルコ鞍部腫瘍に対しては内視鏡下経鼻的経蝶形骨洞手術を行っています。
機能的脳疾患
片側顔面けいれん、三叉神経痛などに対する微小血管減圧術を主に行っています。
水頭症
特発性正常圧水頭症(認知障害、歩行障害、尿失禁やパーキンソン病症状を呈する)やくも膜下出血後(続発性正常圧水頭症)に対しては V-P shunt、L-P shuntを行っています。非交通性水頭症には第3脳室開窓術など神経内視鏡手術も行っています。
脊椎脊髄疾患
頚椎症などに対する前方除圧固定術、椎弓形成術など外科治療も行っています。
脳卒中センター
脳神経外科医をはじめ、その日の当番救急医により24時間体制で脳卒中患者さんの受け入れを行っています。
最新医療設備も充実しており、MRI、3D-CT angioおよび脳血管撮影など24 時間いつでも検査が迅速に行えます。
脳卒中患者さんには内科的治療、脳血管内治療、外科的治療(顕微鏡手術、内視鏡手術など)のいずれかの治療を選択し、迅速に行います。
血栓溶解剤であるt-PA は脳梗塞発症後4.5 時間以内は使用可能です。t-PA
はあらゆるタイプ(心原性脳塞栓症、アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞など)の脳梗塞に使用可能な薬剤です。当院でも適応症例には積極的に投与を行っています。
t-PA以外にも脳梗塞の病態、発症後の時間、MRI所見によっては急性期に脳血管内手術(機械的血栓回収術、経皮的血管形成術など)も積極的に行っております。
機械的血栓回収療法に関しては発症から血栓回収(血管再開通)までの時間が予後に影響すると言われており、この時間をいかに短くするかが問題となっております。脳梗塞発症が疑われる患者さんを診察された際にはできるだけ早急に御紹介頂きますよう、よろしくお願い致します。その際は、紹介状は後程FAXでも構いません。
実績
2024年(1月〜12月)脳神経外科手術数
腫瘍
| 摘出術 | 11 |
|---|---|
| 生検術(内 神経内視鏡下生検術) | 3(0) |
| 経蝶形骨洞手術 | 4 |
| その他(リザーパー留置術など) | 0 |
脳血管障害
| 脳動脈瘤 ネッククリッピング術 破裂 | 5 |
|---|---|
| 脳動脈瘤 ネッククリッピング術 未破裂 | 4 |
| 脳動静脈奇形摘出 | 1 |
| 頸動脈内膜剥離術 | 0 |
| 脳出血 開頭血腫除去術 | 2 |
| 脳出血 定位的血腫吸引術 | 3 |
| 脳出血 神経内視鏡下血腫除去術 | 4 |
| 脳出血 脳室体外ドレナージ術 | 2 |
| STA-MCA 吻合術 | 0 |
| 広範外滅圧術 | 1 |
| 脳室体外ドレナージ | 0 |
| 頭蓋形成術 | 2 |
| その他 | 2 |
外傷
| 開頭血腫除去術(内 広範外減圧術) | 4(0) |
|---|---|
| 内視鏡下血腫除去術 | 0 |
| 穿頭血腫ドレナージ術 | 66 |
| 脳室体外ドレナージ術 | 0 |
| 頭蓋形成術 | 0 |
| その他 | 2 |
水頭症
| V-P shunt 術 | 7 |
|---|---|
| L-P shunt 術 | 0 |
| 神経内視鏡手術 | 1 |
| その他 | 1 |
脊椎・脊髄
| 腫瘍 | 0 |
|---|---|
| 動静脈奇形 | 0 |
| 椎弓形成術、椎弓切除術(変形性脊椎症) | 0 |
| 椎間板ヘルニア | 1 |
| 後縦靭帯骨化症 | 0 |
| 大後頭孔滅圧術 | 0 |
| 外傷 | 0 |
| その他 | 0 |
機能的手術
| てんかん | 0 |
|---|---|
| 不随意運動症 | 0 |
| 神経血管滅圧術 | 0 |
感染
| 定位的穿刺排膿術 | 2 |
|---|---|
| 神経内視鏡下脳室内洗浄術 | 0 |
| 脳室体外ドレナージ術 | 0 |
| その他 | 1 |
脳血管内手術
| 脳動脈瘤 コイル塞栓術 破裂 | 11 |
|---|---|
| 脳動脈瘤 コイル塞栓術 未破裂 | 13 |
| 脳動脈瘤 フローダイバーター(FD) 留置術 | 4 |
| 頸部内頸動脈ステント留置術(CAS) | 11 |
| 腫瘍栄養血管塞栓術 | 3 |
| 経動脈的局所血栓溶解療法、血管内再開通療法 | 22 |
| 塩酸ファスジル選択的動注療法、経皮的血管形成術 | 1 |
| 硬膜動静脈瘻 経静脈塞栓術 | 2 |
| 硬膜動静脈瘻 頸動脈塞栓術 | 2 |
| 脳動静脈奇形(脳・脊髄) | 1 |
| 中硬膜動脈塞栓術(慢性硬膜下血腫) | 4 |
| その他 | 2 |
その他
| 合計 | 205 |
|---|
紹介をいただく先⽣⽅へ
脳神経外科
当科は地域医療連携を重視しており、かかりつけの先生方と密接に連携して診療に当たるようにしています。頭痛や四肢の運動麻痺(片麻痺など)、感覚障害、歩行障害などの神経症状を呈する患者さんがおられましたら、是非ご紹介ください。紹介患者におきましては迅速な対応・診断を行い、内科的治療または外科的治療など患者に適した治療を的確に選択して提供します。
外科的治療を必要とする患者に対しては顕微鏡手術、脳血管内手術、神経内視鏡手術など疾患に応じて様々な手術方法を選択し、24時間体制で対応できるように心がけております。治療後に状態が安定した患者さんについては、紹介元へお戻りになる事を原則として、逆紹介をすすめていきたいと考えております。これからも何卒よろしくお願い致します。
脳卒中センター
脳卒中診療も脳血管内治療の技術進歩に伴い、治療方法も年々発展しております。当院でも時代の流れに乗って最新の治療法を患者さんに提供できるよう日々精進しております。今後も地域住民、当地区の患者さんに対しては地域完結型医療を目指し、医師会の先生方とともに24時間の安心を提供できるよう頑張って参りたいと思います。脳梗塞以外の脳血管障害に対しても常時、診療を行っておりますので、脳血管障害が疑わしい患者さんがおられましたら、いつでもお気軽にご紹介ください。これからも何卒よろしくお願い致します。
スタッフ紹介
脳神経外科 部長
リハビリテーション科 部長
感染管理室 室長
倉本 晃一
脳腫瘍(主に間脳下垂体腫瘍) / 神経内視鏡手術 / 脳血管障害 / 機能的脳外科(パーキンソン病など)久留米大学(平成4年卒)
- 久留米大学脳神経外科学講座准教授
- 日本脳神経外科学会専門医・指導医
- 日本神経内視鏡学会技術認定医
- 日本脳卒中学会専門医・指導医
- 日本内分泌学会内分泌代謝科(脳神経外科)専門医
- ICD
- 認知症サポート医
山下 伸
脳血管障害 / 脳血管内手術 / 脳神経外科救急久留米大学(平成15年卒)
- 久留米大学脳神経外科学講座講師
- 日本脳神経外科学会専門医・指導医
- 日本脳神経血管内治療学会専門医
- 日本脳卒中学会専門医・指導医
江藤 朋子
脳神経外科一般 / 脳腫瘍 / 神経内視鏡手術 / 脳神経外科救急久留米大学(平成18年卒)
- 日本脳神経外科学会専門医・指導医
- 日本神経内視鏡学会技術認定医
- 日本脳腫瘍学会会員
- オプチューン実施医
- 認知症サポート医
濱本 裕太
脳神経外科一般 / 脳神経外科救急久留米大学(平成29年卒)
- 日本脳神経外科学会会員
- 日本脳神経血管内治療学会会員
- 日本脳卒中学会会員
- 日本小児脳神経外科学会会員
- 日本脊髄外科学会会員
中原 陽一郎
脳神経外科一般 / 脳神経外科救急大分大学(令和2年卒)
- 日本脳神経外科学会会員
- 日本脳神経血管内治療学会会員
- 日本脳卒中学会会員
- 日本脳腫瘍学会会員