口唇口蓋顎裂とは、昔は兎唇などと呼ばれていた生まれつきの病気です。
小児は胎生期(お母さんのおなかのなかにいる時期)に体の臓器ができあがりますが、顔面は両外側から内側に向かって(耳の方から鼻の方に向かって)顔ができあがります。最後に真ん中で左右が合うはずが、ほんの少しどちらかの速度が遅くなることでこの病気が出てきます。遺伝的なものと特発的なものがあり、症候群の一症候として出現することもあります。
口唇口蓋顎裂があると、隙間から空気が入り込むために口の中が陰圧になりません。
従ってお母さんのおっぱいを吸うことができなくなります。
生まれて一番エネルギーを必要とし、体を作って行かなくてはならないときに栄養がとれないことになります。
しかし、手術は全身麻酔となるために、これに耐えられるだけの体力も必要となるため、手術は生後3ヶ月くらいしてから、まず口唇を縫う手術を行うことになります。
その後、口蓋(口の中で上あごの部分)の孔を閉鎖する手術を1歳少し前後の言葉を覚える時期よりすこし前に行います。
口蓋裂の子供さんは口の中の孔のためにぱ、ぴ、ぷ、ぺ、ぽ等の言葉が出にくくなります。これを放置すると言葉を覚える時期にこの発音ができないまま成長することになり、大人になってこれを矯正するのは大変困難です。専門的な言葉では、言語発音機能を獲得する時期に遅れないように手術を計画、ということになります。
ついて上あごがさらに鼻の下まで開いている場合(顎裂を伴う場合)は、放置するとその部分に歯が生えなくなるため、10歳前後の永久歯が生える時期の前に割れた顎の部分に腸骨の海綿状骨を移植します。これによって歯牙の萌出が促されます。
この一連の治療を行いながら、言語療法や、歯科矯正、鼻の形や口唇の形の修正手術を平行して行っていきます。形成外科、耳鼻科、口腔外科によるチーム医療が最良の結果を出すためのポイントとなります。
また、口唇裂の手術の後、顔面の成長に伴って初回手術の部分や、外鼻の形が少しゆがんでくることもあります。
ここの部分に修正を行うことによって、かなりの形態の改善が期待できます。この手術は成人でも可能です。
誰にも相談できないで悩んでいる方がもしもおられましたら、是非一度相談してください。
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