■新たなCT装置が導入されました
令和元年8月に80列CT装置が、同年10月に320列CT装置が運用開始されましたので、その特徴を320列CT装置とこれまで使用していた64列CT装置と比較してご紹介いたします。
(80列CT装置は、放射線治療計画用CTとしても使用されます。)

① これまでの64列CT装置に比べて撮影時間が短縮されます。1列0.5mm幅の検出器が320列あり、最大16cmの範囲が最速0.35秒で撮影できます。心臓や脳全体は1回転で撮影可能です。また心臓のように常に動いている臓器も高速で撮影できますので、画像にゆがみが生じにくい特長があります。
② 撮影時間の短縮により造影剤の使用量が低減できます。また、最大16cmの範囲を繰り返し撮影することで1回の造影検査で動脈・静脈+動態検査が可能となります。
③ これまでの64列CT装置に比べて、少ないX線被ばく量で、より精度の高い検査を行うことができます。
④ 金属アーチファクト低減(MAR)技術により、手術等で体内に挿入した金属の影響でCT検査上見えにくかった臓器の評価ができるようになりました。また血管内に留置したステント内の評価にも役立ちます。


くも膜下出血や脳梗塞など緊急性を要する脳血管疾患において、320列CT装置の強みである超高速撮影で検査することにより、短時間で画像診断を行うことができます。
くも膜下出血の代表的原因である脳動脈瘤の破裂部位やその形状を3D画像を用いて評価することができます。
また、脳梗塞の画像診断においても梗塞がおきている血管を特定し、血管の詰まり具合や血流を把握することによりその後のカテーテル治療を行うための有意な画像情報を提供することが可能になりました。

これまでの64列CT装置で行う心臓の検査と比べて、心臓の拍動による動きの影響を極力減らした検査を行えるようになりました。その結果、心臓を栄養している冠動脈の動脈硬化や石灰化、プラーク、血管の形状などを16cmの範囲で短時間かつ低線量で撮影することにより、造影剤の量を減らしつつも、迅速に診断画像を得ることができます。
心筋梗塞や狭心症等の循環器系疾患の把握に大いに有意義な検査を行えます。

詳しい検査内容に関しては、医師またはスタッフにお気軽にお尋ね下さい。
■MRI(フィリップスメディカル社:Achieva 1.5T Nova Dual)
MRI検査は強力な磁力を持つ機械の中に体を入れ電磁波を当てることで、人体を様々な角度で切ったような画像を撮像することができる検査です。CT検査とは違い電磁波を用いているためX線による被曝の心配がありません。CTと比べると検査時間は長くなりますが、脳や神経、靱帯、乳腺、骨盤内などはCTより優れた検出性能を有します。検査時間は、造影剤なしの場合、15分~30分。造影剤を使用する場合は30分~60分ほどかかります。
当院では2011年8月に装置の更新を行いました。静磁場強度は超伝導磁石1.5T(テスラ)のMRIです。更新により装置の総合性能がアップし、高画質な画像を提供することが可能になりました。各種コイルを用意し、全身のほぼ全ての部位を撮影することができます。心臓の血管や動き、下肢の血管、脳の神経、肝臓の微細な病変などの検査が精度良くできるようになりました。また、従来では困難だった非造影(造影剤を使用しない)による血管の撮影が可能になり、患者様の負担の軽減につながっております。MRI部門では、撮影部位や検査内容に応じて装置の性能を十分に生かし、より短時間でより高画質な画像を収集できるよう日々の検査を行っています。



■RI(核医学検査)

ガンマカメラ画像では把握しづらい位置情報を CT画像と合わることにより、よりわかりやすく表示することが可能になりました。当機種はガンマカメラとCTのフュージョン画像が特徴です。

この機種の特徴として、ガンマカメラは高解像度で高感度、で検査の短時間化に寄与しています。
低線量CTの画像も良好で、フュージョン用CTとして通常の1/4の線量で運用しております。
機械の高性能化に伴い、タリウム心筋SPECT検査においてQGS解析を始めました。

また、コンピュータを利用して経時的に血流動態が追えるため、腎血流や消化管出血部位の検索にも利用されます。よく行われる検査に、肝、骨、肺血流、甲状腺、腫瘍、心筋シンチグラム、レノグラム(腎)、負荷心筋シンチグラム、脳血流シンチグラムがあり、緊急時の肺血流、消化管出血シンチグラム等があります。
■頭・腹部用血管撮影装置(バイプレーンシステム)

従来のフラットパネルディテクタとバイプレーンシステムに加え、被曝線量をおさえ、かつ高画質な検査が実施できるようになりました。
新しいフラットパネルディテクタとX線管のパラメータ、そして画像処理機能により、最大80%以上のX線出力(DAP)の低減を実現しています。これにより、複雑化・高度化するIVR(*)治療に対応することができます。
同時2方向撮影(バイプレーン)ができるだけでなく、検査部位に合わせて検出器をを回転し最適な撮影視野を得ることで、頭部から腹部、上肢、下肢にいたるまで全身の様々な部位における検査と疾患に対する治療を施行することができます。
アプリケーションは3Dアンギオグラフィによる微小血管の立体表示だけでなく、血流情報をカラー表示する2D Perfusionや高速撮影、高速再構成ができるコーンビームCTを用いた軟部組織の評価も可能になりました。さらに、腫瘍の栄養血管を描出するEmboGuideは血管を塞栓する手技をサポートし、診断能の向上に貢献します。
- (*)IVR(Interventional Radiology):血管造影の技術を応用して行う治療。急性期脳梗塞や脳動脈瘤破裂、臓器損傷による出血などの救急疾患も適応となる。

■心血管撮影装置(島津メディカルシステムズ Trinias C8)

心臓カテーテル検査とは心臓を動かす為の血管である冠動脈にカテーテルと呼ばれる細い管を入れ、そこから造影剤を注入することで冠動脈内の血液の流れや血管の形状を把握する検査です。狭心症や心筋梗塞の診断を行うためには重要な検査となっています。
血管の細い部分や閉塞している部分があればバルーンと呼ばれる小さな風船やステントと呼ばれる金属などを用いて血管を広げる治療が行われます。
心血管撮影装置Trinias C8は8×8inchの高性能FPD(フラットパネルディテクタ)を搭載しており、最新リアルタイム画像処理技術であるモーショントラッキングノイズリダクションにより最小限の被曝線量で高画質な画像をリアルタイムに得ることができる心血管に特化した装置です。
また、治療の際に用いられるステントを心臓の拍動に合わせリアルタイムで固定して表示させるStent View機能を用いることでステント内のバルーン拡張や位置関係の把握に威力を発揮します。
そのほかにも、心血管撮影装置に付随する各種機器として電動式造影剤注入装置(Zone Master)やIVUS・動画サーバーシステム(KADA)・除細動器・ポリグラフ・心エコー・IABP等々も新しく導入しました。
このような最先端の医療機器により複雑化・高度化する検査や治療を安心・安全に行うことを実現しています。
■FPD搭載多目的デジタルX線TVシステム等
また、平成29年度より、13inch×14inchサイズのFPD搭載の下段装置、東芝(ZEXIRA)に更新し、健診胃透視や注腸透視等に活躍しています。


■乳房X線撮影装置デジタルマンモグラフィ
近年、乳がん患者さんは増加傾向にあります。
日本でも胃がん、大腸がん、肺がん、肝臓がんについで死亡率が高いがんとなっています。
国の施策や乳がんの検診体制に関する報道等も増え、乳がん検診に対する関心が高まっています。
当院では平成18年3月に、高画質で画像情報に撮影条件を付帯できるなどの機能を備えて、より良いマンモグラフィが撮れる乳房X線撮影装置(日本医学放射線学会の仕様基準を満たした装置)を導入しました。
また、3年毎のマンモグラフィ検診施設の認定更新を実施しています。
乳がんは、早期発見により乳房の温存率、生存率を飛躍的に向上させることができます。
マンモグラフィ検査は乳房の微細な変化を形態的変化として捉えることができ、非触知乳がんの発見率が向上します。
当院では、検診マンモグラフィ撮影認定を取得した女性技師4名が、乳房の検診に対応しています。

■CRシステム
平成23年11月より電子カルテ更新に伴いCRシステム(コニカ製)導入し、フイルムレスで画像診断を行えるようになりました。このシステムは操作性に優れ、フラットパネル採用により、低被ばくで高画質な画像を提供できることができます。
また、検像システム、高鮮鋭度モニターとのシステム化によって高鮮鋭度な画像を配信できるようになり診断の質の向上に寄与しています。



■骨塩定量装置(PRODIGY C GE横河)
骨には、多くのカルシウムがふくまれていますが、若年期をピークに年齢とともに減少していきます。それによって骨の構造が非常にもろい状態に変化し、骨折しやすくなります。これが骨粗鬆症です。
当病院では、腰椎と近位大腿骨に二種類のエネルギーのX線を照射し、X線の骨による吸収の差を利用し骨塩量を正確に測定しています。
また、この装置は平成23年9月に装置の更新をおこない、短時間での検査を行うことができるようになりました。

■移動式DSA装置(GE OEC MEDICAL SYSTEMS SERIES9800)

■放射線治療装置(外部照射装置(ONCORリニアアクセラレータ SIEMENS社製))
ドイツのシーメンス社の最先端技術を駆使したコンピュータ制御自動設定機能によって、高度で、正確な放射線治療ができるようになりました。
マルチリーフコリメータによって腫瘍の複雑な形にも対応可能となり、正常組織への照射を減らすことができるようになりました。
治療装置に付属するポータルイメージングシステムを用いて、クリアなデジタル画像を撮影できるようになりました。
最新技術のコーンビームCT撮影によって得られる3D画像を用いることで、治療部位の正確な位置確認が可能となりました。(イメージガイド放射線治療(IGRT)と言います)
様々な最新技術を搭載した放射線治療装置によって、精度の高い放射線治療を行えるようになり、患者様の肉体的負担を軽減することができます。
放射線治療は、手術、化学療法と並んで、悪性腫瘍(がん)治療の3本柱の1つとして重要な役割を担っています。その特徴は、正常組織の形態ならびに機能を損なうことなく治療できるところにあります。高齢者にやさしいQOL(Quality Of Life)の高い治療法です。
がんを確実に治すことを目的とする根治療法、手術や化学療法との併用療法、痛みの緩和などを目的とする対症療法として治療を行っています。
対象は、頭頸部、肺、食道、乳房、子宮、前立腺、脊椎、骨などの悪性腫瘍(がん)で、平成19年度は138例2537回の治療を行いました。

管理職 2名
監督職 2名
職員 11名(女性5名含む)
再雇用者 1名
■専門技師等のライセンス取得状況【令和2年7月31日時点】
第1種放射線取扱主任者:3名
検診マンモグラフィ撮影認定診療放射線技師:5名
放射線治療専門放射線技師: 4名
磁気共鳴(MR)専門技術者: 1名
救急撮影認定技師: 1名
Ai撮影認定技師: 2名
X線CT認定技師: 2名
医用画像情報管理士: 1名
放射線治療品質管理士: 1名
放射線機器管理士: 2名
放射線管理士:2名
アドバンスド放射線技師: 2名
シニア放射線技師:2名
診療科・部門
内科系
外科系
センター
チーム医療等
部門