■CT(Canonメディカルシステムズ社製)
(80列CT装置は、放射線治療計画用CTとしても使用されます。)
① これまでの64列CT装置に比べて撮影時間が短縮されます。1列0.5mm幅の検出器が320列あり、最大16cmの範囲が最速0.35秒で撮影できます。心臓や脳全体は1回転で撮影可能です。また心臓のように常に動いている臓器も高速で撮影できますので、画像にゆがみが生じにくい特長があります。
② 撮影時間の短縮により造影剤の使用量が低減できます。また、最大16cmの範囲を繰り返し撮影することで1回の造影検査で動脈・静脈+動態検査が可能となります。
③ これまでの64列CT装置に比べて、少ないX線被ばく量で、より精度の高い検査を行うことができます。
④ 金属アーチファクト低減(MAR)技術により、手術等で体内に挿入した金属の影響でCT検査上見えにくかった臓器の評価ができるようになりました。また血管内に留置したステント内の評価にも役立ちます。
くも膜下出血や脳梗塞など緊急性を要する脳血管疾患において、320列CT装置の強みである超高速撮影で検査することにより、短時間で画像診断を行うことができます。
くも膜下出血の代表的原因である脳動脈瘤の破裂部位やその形状を3D画像を用いて評価することができます。
また、脳梗塞の画像診断においても梗塞がおきている血管を特定し、血管の詰まり具合や血流を把握することによりその後のカテーテル治療を行うための有意な画像情報を提供することが可能になりました。
これまでの64列CT装置で行う心臓の検査と比べて、心臓の拍動による動きの影響を極力減らした検査を行えるようになりました。その結果、心臓を栄養している冠動脈の動脈硬化や石灰化、プラーク、血管の形状などを16cmの範囲で短時間かつ低線量で撮影することにより、造影剤の量を減らしつつも、迅速に診断画像を得ることができます。
心筋梗塞や狭心症等の循環器系疾患の把握に大いに有意義な検査を行えます。
詳しい検査内容に関しては、医師またはスタッフにお気軽にお尋ね下さい。
■MRI(フィリップスメディカル社:Achieva 1.5T Nova Dual)
MRI検査は強力な磁力を持つ機械の中に体を入れ電磁波を当てることで、人体を様々な角度で切ったような画像を撮像することができる検査です。CT検査とは違い電磁波を用いているためX線による被曝の心配がありません。CTと比べると検査時間は長くなりますが、脳や神経、靱帯、乳腺、骨盤内などはCTより優れた検出性能を有します。検査時間は、造影剤なしの場合、15分~30分。造影剤を使用する場合は30分~60分ほどかかります。
当院では2011年8月に装置の更新を行いました。静磁場強度は超伝導磁石1.5T(テスラ)のMRIです。更新により装置の総合性能がアップし、高画質な画像を提供することが可能になりました。各種コイルを用意し、全身のほぼ全ての部位を撮影することができます。心臓の血管や動き、下肢の血管、脳の神経、肝臓の微細な病変などの検査が精度良くできるようになりました。また、従来では困難だった非造影(造影剤を使用しない)による血管の撮影が可能になり、患者様の負担の軽減につながっております。MRI部門では、撮影部位や検査内容に応じて装置の性能を十分に生かし、より短時間でより高画質な画像を収集できるよう日々の検査を行っています。
■RI(核医学検査)
ガンマカメラ画像では把握しづらい位置情報を CT画像と合わることにより、よりわかりやすく表示することが可能になりました。当機種はガンマカメラとCTのフュージョン画像が特徴です。
この機種の特徴として、ガンマカメラは高解像度で高感度、で検査の短時間化に寄与しています。
低線量CTの画像も良好で、フュージョン用CTとして通常の1/4の線量で運用しております。
機械の高性能化に伴い、タリウム心筋SPECT検査においてQGS解析を始めました。
また、コンピュータを利用して経時的に血流動態が追えるため、腎血流や消化管出血部位の検索にも利用されます。よく行われる検査に、肝、骨、肺血流、甲状腺、腫瘍、心筋シンチグラム、レノグラム(腎)、負荷心筋シンチグラム、脳血流シンチグラムがあり、緊急時の肺血流、消化管出血シンチグラム等があります。
■頭・腹部用血管撮影装置(バイプレーンシステム)
従来のフラットパネルディテクタとバイプレーンシステムに加え、被曝線量をおさえ、かつ高画質な検査が実施できるようになりました。
新しいフラットパネルディテクタとX線管のパラメータ、そして画像処理機能により、最大80%以上のX線出力(DAP)の低減を実現しています。これにより、複雑化・高度化するIVR(*)治療に対応することができます。
同時2方向撮影(バイプレーン)ができるだけでなく、検査部位に合わせて検出器をを回転し最適な撮影視野を得ることで、頭部から腹部、上肢、下肢にいたるまで全身の様々な部位における検査と疾患に対する治療を施行することができます。
アプリケーションは3Dアンギオグラフィによる微小血管の立体表示だけでなく、血流情報をカラー表示する2D Perfusionや高速撮影、高速再構成ができるコーンビームCTを用いた軟部組織の評価も可能になりました。さらに、腫瘍の栄養血管を描出するEmboGuideは血管を塞栓する手技をサポートし、診断能の向上に貢献します。
- (*)IVR(Interventional Radiology):血管造影の技術を応用して行う治療。急性期脳梗塞や脳動脈瘤破裂、臓器損傷による出血などの救急疾患も適応となる。
■心血管撮影装置(島津メディカルシステムズ Trinias C8)
心臓カテーテル検査とは心臓を動かす為の血管である冠動脈にカテーテルと呼ばれる細い管を入れ、そこから造影剤を注入することで冠動脈内の血液の流れや血管の形状を把握する検査です。狭心症や心筋梗塞の診断を行うためには重要な検査となっています。
血管の細い部分や閉塞している部分があればバルーンと呼ばれる小さな風船やステントと呼ばれる金属などを用いて血管を広げる治療が行われます。
心血管撮影装置Trinias C8は8×8inchの高性能FPD(フラットパネルディテクタ)を搭載しており、最新リアルタイム画像処理技術であるモーショントラッキングノイズリダクションにより最小限の被曝線量で高画質な画像をリアルタイムに得ることができる心血管に特化した装置です。
また、治療の際に用いられるステントを心臓の拍動に合わせリアルタイムで固定して表示させるStent View機能を用いることでステント内のバルーン拡張や位置関係の把握に威力を発揮します。
そのほかにも、心血管撮影装置に付随する各種機器として電動式造影剤注入装置(Zone Master)やIVUS・動画サーバーシステム(KADA)・除細動器・ポリグラフ・心エコー・IABP等々も新しく導入しました。
このような最先端の医療機器により複雑化・高度化する検査や治療を安心・安全に行うことを実現しています。
■FPD搭載多目的デジタルX線TVシステム等
また、平成29年度より、13inch×14inchサイズのFPD搭載の下段装置、東芝(ZEXIRA)に更新し、健診胃透視や注腸透視等に活躍しています。
■乳房X線撮影装置デジタルマンモグラフィ
この度、マンモグラフィー装置を富士フイルムAMULET Innovalityに更新しました。
新しい画像処理技術により、従来より少ない放射線量で高画質の撮影をすることができるようになりました。また、自動減圧機能「なごむね」により、乳房の厚みが変化しない範囲で自動で圧迫圧を減圧し、痛みを低減することが可能になりました。
当院では、検診マンモグラフィ撮影認定を5名が取得しており、撮影は女性技師が対応しています。また3年毎のマンモグラフィ検診施設(日本乳がん健診精度管理中央機構)の認定更新を実施し精度管理にも努めています。
■CRシステム
平成23年11月より電子カルテ更新に伴いCRシステム(コニカ製)導入し、フイルムレスで画像診断を行えるようになりました。このシステムは操作性に優れ、フラットパネル採用により、低被ばくで高画質な画像を提供できることができます。
また、検像システム、高鮮鋭度モニターとのシステム化によって高鮮鋭度な画像を配信できるようになり診断の質の向上に寄与しています。
■骨塩定量装置(PRODIGY Fuga-C Lite)GEヘルスケアジャパン
令和6年3月に更新した装置で、骨を構成しているカルシウムなどの量を測定することにより、骨の強度を調べる検査です。骨粗鬆症の診断や治療効果判定に用いられます。
日本骨粗鬆症学会のガイドラインにおいても推奨されるDEXA法での測定方法で、微量なX線を使用して骨折しやすい腰椎や大腿骨を直接測定することにより、正確な骨密度を測る事ができます。
当院で以前から検査をされた方のデータは、旧装置から引き継いでいますので、今までと変わらず経過を見ていくことができます。
■移動式DSA装置(GE OEC MEDICAL SYSTEMS SERIES9800)
DSA(digital subtraction angiography)は血管造影像をデジタル化し画像処理を行う方法で、比較的少量の造影剤で十分な画像が得られます。この器械は大型で当院でも血管造影室に固定式に設置されていますが、今回移動式のDSA装置を購入しました。ポ-タブル式なので器械も小型化し自由に移動できベットサイドでも血管造影ができる優れものです。現在は手術室で主に血管外科手術の術中造影や血管内治療に使用しています。また、微細な画像を必要とする整形外科の手の外科手術にも効力を発揮しています。21世紀は血管病の時代と言われ血管内手術も増加してくると思います。また、低侵襲手術の時代であり、近年内に保険適応になる大動脈瘤に対する人工血管内挿術にもこの器械が是非必要です。最先端医療を行うためにこの器械を購入しました。
■放射線治療装置(外照射装置 Versa HD HDRS(Elekta社製))
令和4年2月から運用を開始した新放射線治療装置です。旧治療装置から更新しました。
世界的放射線治療器メーカーであるエレクタ社の最上位機種になります。
放射線治療は①照射する形を決定し計算する治療の準備 ②準備通りに体の位置を調整し正確に放射線を照射すること が重要になります。
① 照射する形を決定し計算する治療の準備
正常組織への影響を最小限にするために、照射対象にあわせた複雑な照射の形をつくることができる高性能マルチリーフコリメータを搭載しています。また治療の計算を行う計画装置は2種類導入しましたし、計算の確認検証システムはかなり充実しましたので、より安全正確な治療ができます。
② 準備通りに体の位置を調整し正確に照射する技術
準備内容を位置ずれなく正確に照射する必要があります。患者さんが寝台に寝た状態で治療装置で画像を撮影し、位置ずれを計算し寝台を細かく動かして位置を調整します。このための技術が向上しました。
画像の撮影について、診断用CTと同タイプであるkV-CTで撮影できるようになり、より鮮明な画像が撮影できるようになりましたし、肺腫瘍の呼吸による動きはkV-CTで確認でき、肺定位照射の正確性が向上しました。
また赤外線を用いて体表面の位置を確認できるシステム(Catalyst)は3つのカメラを搭載し、機械の動きによる死角なく確認調整ができますし、X線画像を利用し低被曝で素早い調整が可能なシステム(ExacTrac)も導入しています。
これらの画像情報から計算した寝台を動かす方向は、以前からの前後左右上下に加え、回転方向の調整が可能になりました(6軸カウチシステム)。
このように患者さんが寝台に寝た状態で照射直前の位置調整を正確に行うことをIGRT(イメージガイド下放射線療法)と言い、当院では積極的に取り組んでいます。
今回の治療装置更新で様々な最新技術を搭載した放射線治療装置を導入したことによって、より精度の高い放射線治療を行うことができるようになり、今まで以上に高品質な治療をご提供いたします。
管理職 2名
監督職 2名
職員 12名(女性6名含む)
臨時職員 1名
■専門技師等のライセンス取得状況【令和6年4月1日時点】
第1種放射線取扱主任者:5名
検診マンモグラフィ撮影認定診療放射線技師:4名
放射線治療専門放射線技師: 3名
磁気共鳴(MR)専門技術者: 1名
救急撮影認定技師: 2名
Ai撮影認定技師: 2名
X線CT認定技師: 3名
肺がんCT検診認定技師:2名
医用画像情報管理士: 1名
放射線治療品質管理士: 2名
放射線機器管理士: 2名
放射線管理士:2名
アドバンスド放射線技師: 2名
シニア放射線技師:2名
診療科・部門
内科系
外科系
センター
チーム医療等
部門